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ココナッツオイルについて

ー ココナッツオイル vs. MCTオイル ー どっちが優れている?!

 

ココナッツオイルが料理や美容・健康のためにさまざまな利用ができる、健康的で万能なオイルということはもう広く知られるところとなっていますが、同じ効能でそれをさらに濃縮したオイルである「MCTオイル」はご存知ですか?


MCTオイルってなに?

MCTはMedium Chain Triglyceride(中鎖脂肪酸)の略で、名前の通り「鎖が中くらいの長さの脂肪酸」のことです。MCTオイルは、ココナッツ油やパーム核油などに含まれる中鎖脂肪酸だけを取り出した人工的なオイルで、常温で透明、無味無臭の液体です。

 

中鎖脂肪酸 vs. 長鎖/短鎖脂肪酸

すべての飽和脂肪酸は炭素と水素から成り立ちますが、長さが違ってきます。定義では、「短鎖」脂肪酸は5つかそれ以下の炭素を、中鎖は6~12、長鎖は12以上を指します。

中鎖脂肪酸は、消化しやすく、ほとんどの食品は消化を通じて代謝されるところを、肝臓で直接処理されます。中鎖脂肪酸は、早くてより持続するエネルギーを供給し、その鎖が短いほど体に早く吸収されやすくなります。

※短鎖脂肪酸の食品例 ーー バター、酢などあるが、食品で摂取するよりも腸内細菌によって生成された方が効率的に作用する

※長鎖脂肪酸の食品例 ―― 牛脂、豚脂、ラード、オリーブオイル、大豆油(肥満化、動脈硬化、心筋梗塞、コレステロール上昇、中性脂肪の蓄積の危険性あり)

 

以下の脂肪酸が、中鎖脂肪酸(MCFAs)に分類されます:                                                                                                                        

カプロン酸 [Caproic acid]、またはヘキサン酸(C6- 6炭素のこと)         
カプリル酸 [Caprylic Acid]  またはオクタン酸(C8- 8炭素)        
カプリン酸 [Capric Acid] 、またはデカン酸(C10‐10炭素)            
ラウリン酸 [Lauric Acid]、またはドデカン酸(C12‐12炭素)

 

MCTオイルの効能

効果1: 中鎖脂肪酸(MCT)は長鎖脂肪酸(LCT)より約5倍早くエネルギー化

 LCTとMCTは消化・吸収の流れが全然ちがいます。
どれくらい違うのかについて、それぞれの消化吸収の流れを下記にまとめました。

 

LCT: 小腸で消化&吸収 ➡ リンパ管と静脈 ➡ 脂肪組織・筋肉・肝臓で貯蔵 ➡  必要に応じてエネルギー利用 

MCT: 小腸  ➡(門脈経由で)肝臓 ➡  エネルギー利用

 

簡潔に説明すると「LCTは小腸で分解された後に全身に運ばれて、脂肪や筋肉に蓄えられる」のに対し、「MCTは小腸からダイレクトに肝臓へ運ばれる」ということです。

経路がシンプルなので、MCTはLCTの約5倍近い速さで分解されます。

しかもLCTが必要に応じてエネルギー利用されるのに対して、MCTはそのまま全てがエネルギー利用されます。

MCTは筋肉や脂肪組織に蓄えられることもないので、脂質のイメージである中性脂肪になるということもありません。

 すなわちMCTは、脂肪がつかずエネルギー化しやすい、「糖質のような脂質」なのです!

しかし、糖質のようでありながら、一方で糖質のように血糖値を気にする必要がないという、まさに理想の栄養素でもあります。

なので、医療現場では「MCTが素早くエネルギー化できる」という特長を活かし、栄養状態を良くする手法としてMCTが積極的に活用されています。

以上の理由で、MCTは消化系に問題のある人、脂肪吸収が難しい人、胆嚢をもう取ってしまってない人にも良い選択肢となります。

 

効果2:中鎖脂肪酸は脳のエネルギー源になる

脳のエネルギー源はブドウ糖です。

脳がエネルギー不足になると、新たなことを覚えたり、覚えていることを思い出しにくかったりと、記憶機能の低下につながります。

こういったもの忘れの進行は、高齢化にしたがって増え続ける、認知症の入り口でもあります。

認知症の中で最も多い、アルツハイマー病に見舞われる脳は、エネルギー不足状態に陥っていることが、最近の研究では報告されています。

この状態の脳では「第一のエネルギー源であるブドウ糖がうまく使えない」のです。

そこで、脳内にブドウ糖が不足している状態では、第二のエネルギー源「ケトン体」が使われるようになります。

実はMCT、このケトン体を最も効率的に作り出すことができる栄養素なのです。

MCTは肝臓に運ばれると、ケトン体に変換されます。

 MCTは脳の代替エネルギーであるケトン体を作り出すので、記憶力の低下を防ぐ(認知症を予防する)可能性が高い栄養素として期待を集めています。

まだ研究途中ではありますが、MCTの摂取量を増やすことで、血液中のケトン体が増えて、記憶力の低下を抑えられるというデータも出ています。

そうしたら、中鎖脂肪酸100%であるMCTオイルの方が、中鎖脂肪酸60%ぐらいのココナッツオイルよりも優れているじゃない?かというと、それがそうとも言い切れないのです。

 

 

ラウリン酸の話

ラウリン酸は、ココナッツオイル会社が「ココナッツオイルの方がMCTオイルよりも良い」とする理由になっています。これはまた、MCTオイル会社が「MCTオイルの方がココナッツオイルよりも優れている」という理由でもあります。ん??と思いますね。しかしこれらは、別の理由でどちらも正しいと言えます。

「MCTオイル」として流通しているオイルは、大体カプリル酸カプリン酸の組み合わせか、もしくは濃縮されたカプリン酸だけを含み、これらは早くて使えるエネルギー源になります。

一方、MCTオイルはラウリン酸(C12)を含みません。ラウリン酸とは、長鎖脂肪酸と中鎖脂肪酸の境目のような脂肪酸で、他の中鎖脂肪酸よりは消化がゆっくりになります。

ココナッツオイルの主な脂肪酸はラウリン酸で(全体の50%)、あとはごく少量のカプロン酸(C6)、6%のカプリル酸(C8)、10%のカプリン酸(C10)を含みます。

ですから、ココナッツオイルは確かに中鎖脂肪酸の素晴らしい摂取源なのですが、それはあなたがラウリン酸(C12) を中鎖と考えるか長鎖と考えるかによります。(分類上は中鎖脂肪酸だが、実際の消化経路は長鎖のそれっぽい)

ここで、ラウリン酸には、自然に抗菌・抗バクテリア、抗ウィルス性があります。肌の治癒・再生にも素晴らしく効果があり、ひどいニキビや妊娠線なども消すぐらいの能力があります。そしてココナッツオイルは、母乳に次いで二番目にラウリン酸を含む飽和脂肪酸なのです。(授乳中の皆さんへ:ココナッツオイルを摂ると母乳にさらにラウリン酸が含まれるようになるらしいです)

消化過程で、ラウリン酸は「モノラウリン」というものに変換されますが、これは正常な免疫機能に不可欠な物質です。MCTオイルに含まれるカプリル酸とカプリン酸にもある程度は抗菌・抗バクテリア特性がありますが、ラウリン酸からできるモノラウリンほどではありません。

 

結論を言うと:

  •  エネルギー消費の激しいアスリートやダイエットしたい人、ココナッツオイルの味や匂いが苦手な人には、中鎖脂肪酸だけを抽出したMCTオイルがお勧め
  •  免疫強化・お肌の保護など健康への効能を期待するなら、自然でフルスペクトラムなココナッツオイルを選ぶべし

 

MCTオイルの注意点

  • 調理上の注意点:

MCTオイルは、熱に当てると酸化するので調理には向きません。(賞味期限もココナッツオイルよりも短い)なので、亜麻仁油のようにサラダドレッシングなどに使うか、Bullet-proof Coffee(オイル入りコーヒー)にするといいでしょう。

 

  • 環境懸念からの注意点:

    MCTオイルは、ココナッツオイルやパームオイルからつくられているものがあり、そのうちパームオイルは森林伐採、絶滅危惧種の動物をさらに追いやるなど、生産するのに環境破壊促進が懸念されているオイルです。ですから、MCTオイルを選ぶなら、ココナッツオイルだけを原材料にしているものを個人的にはお勧めします 。

 

  • 消化上の注意点:

MCTオイルの利点は、素早く簡単に消化・利用できることと言いましたが、そのために、突然、大量に摂るとたまに「アクシデント」があるようです(;^_^A
ですから、小さじ1/2ぐらいからスタートすると安全です。

 

トンプソン 真理子
在米20年のメディカル・リサーチャー&著作家。「すべての病は腸から始まる」「食で治せない病気は医者でも治せない」と唱えたヒポクラテスを師と仰ぎ、食と健康との深い関わり、大切さについて気づいてもらうべく日々発信している。 得意分野はリーキーガット、代表著書に「リーキーガット症候群」。

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