信じがたいことですが、副腎疲労は世界中の80%の人間に影響していると見られています。「副腎疲労:21世紀症候群」の著者であるジェームス・ウィルソンによると、慢性的なストレスやそのライフスタイルは、肉体的、精神的ストレスから立ち直る体の能力にも影響を与えるということです。
事実、短期間や長期間に関わらず、ほとんどの人が人生のある時点で副腎疲労に悩まされています。
症状は以下のようになります:
・体の痛み
・物事に集中できない
・考え事が止まらない
・気分のむらやイライラ
・いつも疲れている感じ
・圧倒されたような気分
・ホルモンのアンバランス
・甘いものや塩辛いものへの渇望
これらの症状は、他の障害や疾患からというのもあり得ますし、医師にもよく見落とされますが、ますます多くの人が、これらの組み合わさった症状が副腎疲労、または副腎不全として知られるものの始まりに気づくようになってきています。
もしあなたに副腎疲労があるなら、それは体重増加とエネルギーレベルの低下の主な原因にもなっているはずです。
では、副腎が実際どんな働きをしているのか、また副腎疲労の原因は何なのかをまずお話ししましょう。
【驚くべき副腎】
副腎は、ちょうど腎臓の上に乗っかっている、左右に一つずつある親指ほどの大きさの器官で、内分泌系システムの一部となっています。それらは体のほぼすべての機能を動かす50以上ものホルモンを作っていて、その多くは生命維持に不可欠となっています。
ホルモンは体内すべての機能、器官、組織に直接または間接的に作用します。それらはお互いに呼応し合うと同時に複雑かつ非常に微妙なバランスの上で体の状態に対応しています。副腎は、「視床下部・下垂体・副腎系軸(HPA軸)」として知られる体系の中で、視床下部や下垂体と密接な関係で働いています。
副腎はストレス反応において非常に大きな役割を果たしています。あなたの脳が脅威を感じたとしましょう――精神的にでも肉体的のどちらででも。副腎髄質はその脅威に反応して脳と心臓と筋肉に血をすぐさま送りながら
アドレナリン・ホルモンを出します。(闘争・逃走反応=ストレスのかかる事態に対処するための自律神経系の働き)
それから、副腎皮質は消化系や免疫系反応、その他の命にはただちに別条のない機能の工程を減速させます。
副腎は以下のような「バランスを取るホルモン」を司っています:
● 糖質コルチコイド ― 体の血糖値のバランスを取るホルモンで、エネルギーや食べ物の代謝を助け、ストレスをやっつけたり、免疫反応を統制したりする(例:コルチゾール)
● 鉱質コルチコイド ― 健康的な血圧を保つホルモンで、血液の水和レベルを統制したり、塩分と水のバランスを保つことで血液を健康に保ったりする。(例:アルドステロン)
● 性ホルモン ― エストロゲン(女性ホルモン)とテストステロン(男性ホルモン)
● アドレナリン ― 心臓の健康に影響するホルモンで、体の隅々まで血を送ったり、また肝臓内のグリコーゲンをグルコース(ブドウ糖)に変換したりする。
【副腎疲労の原因は?】
副腎疲労は、体や副腎が、多くの人が経験するような大量の日々のストレスに追いついていけなくなった時に起こる状態です。時に自己免疫疾患と間違われたりするように、副腎疲労は他のよくある疾患や病気の前触れとよく似た症状を呈することがありますが、副腎疲労は急なストレスや長引く慢性的ストレスが副腎に過重な負荷をかけ、機能できなくしてしまいます。
副腎疲労は以下のような原因によって起こるとされています:
・愛する人との死別や離婚、手術のようなストレスの多い経験
・環境的な毒素や汚染への露出
・経済的な困難、悪い人間関係や仕事環境、また無力感を伴う他の状況による長引くストレス
・否定的な考え方や感情的トラウマ
・睡眠不足
・悪い食事や運動不足
※重度の副腎疲労は、アジソン病(慢性副腎皮質機能低下症)と呼ばれることもある
このうち、自分の愛する人やペットが亡くなるというような精神的ストレスは、肉体的ストレスの何千倍も強いものがあります。